子育てで本当に大切なことは何だろう。
保育士として19年間、たくさんの子どもたちと保護者の方に関わり、3人の子どもを育てる中で、私自身も何度も考えてきました。

子どもが大好き。その思いは、保育士になる前も、保育士として働いていたときも、母親になった今も変わりません。
現在は、ベビーシッター・子育てコーチとしてご家庭に関わっています。

けれど、19年間の保育士経験があるからといって、最初から子育てのすべてが分かっていたわけではありません。
むしろ、本当の意味で保護者の気持ちが分かるようになったのは、私自身が母親になってからでした。

保育士として見えていた景色。
母親になって初めて見えた景色。
そして、一度立ち止まる時期を経験し、今また違う立場からご家庭に関わるようになって見えてきた景色があります。

この記事では、保育士と母、両方を経験して初めて分かった「子育てで本当に大切なこと」を、私自身の経験を交えながらお伝えします。

1. 保育士だった私は「子ども」を見ていた

私は、幼い頃から小さい子のお世話をすることが好きでした。
年下の子と遊んだり、困っている子に声を掛けたりすることが自然と好きで、将来は子どもに関わる仕事がしたいと思っていました。

高校生までは、小児科の看護師になることが夢でした。
その夢に向かって、看護体験や老人ホームでのボランティア活動にも参加していました。

そんな私の進路を大きく変えたのが、高校2年生の夏休みに参加した保育園でのボランティアでした。

子どもたちが笑う姿。
泣いていた子が少しずつ安心していく姿。
先生たちが子どもに寄り添いながら、一緒に遊び、成長を喜んでいる姿。

その空間で過ごすうちに、
「私が本当にやりたい仕事は、これかもしれない」
と思いました。

その経験をきっかけに、私は看護師ではなく保育士の道へ進みました。

保育士になったばかりの頃は、「子どものために何ができるか」をいつも考えていました。
今日はどんな遊びをしようか。どんな絵本を読もうか。どうしたら楽しく過ごしてもらえるだろう。

もちろん、保護者の方とも毎日関わります。
登園時にお子さまの様子を聞いたり、降園時に一日の様子を伝えたり、子育てについて相談を受けたりすることもありました。

「お母さん、大変そうだな」
「仕事と子育ての両立は忙しいだろうな」

そう感じることはありました。
でも今振り返ると、当時の私は、まだ保護者の大変さを本当の意味では分かっていなかったと思います。

そのことに気づいたのは、私自身が母親になってからでした。
そして、私が考える子育てで本当に大切なことも、少しずつ変わっていきました。

2. 母親になって初めて保護者の気持ちが分かった

保育園で子どもたちと関わっているときは、泣いたりイヤイヤしたりしていても、
「どうしたのかな」「何を伝えたいのかな」と考える余裕がありました。

でも、我が子となると違いました。
かわいい。大切。誰よりも幸せになってほしい。
そう思っているのに、イライラしてしまうことがありました。

朝は「待ってあげたい」と思っていても待てない

子どもを起こして、朝ごはんを食べさせ、着替えをして、保育園の準備をする。
その間に自分の仕事の準備もしなければなりません。

時間はどんどん過ぎていくのに、子どもは靴下を履きたくないと言ったり、まだ遊びたいと言ったり、抱っこを求めたりします。

保育士としてなら受け止められることも、時間に追われる母親としては余裕をなくしてしまう。

「早くして!」

そう言ったあとで、
「私は保育士なのに、どうして我が子にはこんなに余裕がないんだろう」
と自分を責めたこともありました。

仕事が終わっても、お迎え、夕飯、お風呂、寝かしつけ。
子どもが寝たあとには洗濯や片づけが残っています。

そんな毎日を経験する中で、保育園で出会ってきた保護者の方々の姿を思い出すようになりました。

降園時、なかなか帰り支度が進まず、玄関で疲れたように座っていたお母さん。
朝、急いでいるときに子どもが泣き、困った表情をしていたお父さん。
「今日もバタバタで……」と笑っていた保護者の方。

以前の私は「大変なんだろうな」と思っていました。
でも母親になって、その「大変」の中には、仕事、家事、睡眠不足、体調、時間への焦りなど、外からは見えないものがたくさんあることを知りました。

そして、保育士の仕事は子どもだけを見る仕事ではないと、以前より強く感じるようになりました。

子どもの姿を見ること。そして、その子を毎日育てている保護者の気持ちにも寄り添うこと。
これも、私が母親になって気づいた子育てで本当に大切なことの一つです。

3. 子育てで本当に大切なことは「正解」を探すことではない

保育士として働いていると、発達や生活習慣、子どもへの声の掛け方など、さまざまな知識を学びます。

私自身、母親になったときには、その知識を生かして子育てができると思っていた部分もありました。

でも実際に子育てをしてみると、教科書どおりにはいきませんでした。

同じように声を掛けても、すぐに気持ちを切り替えられる子もいれば、時間が必要な子もいます。
同じ家庭で育つきょうだいでも、性格も好きなことも、安心できる方法も違います。

3人の子どもを育てている私自身も、それぞれに同じ方法が通用するわけではないことを何度も経験してきました。

だから今は、「正しい子育てをする」ことより、
目の前の子を見ながら、その子に合う方法を探していくことのほうが大切だと考えています。

昨日うまくいった方法が今日はうまくいかないこともあります。
それなら、また考え直せばいい。
私にとって子育てで本当に大切なことは、一つの正解に子どもを当てはめることではなく、その時々の姿を見ながら関わり方を考えていくことです。

4. 子どもの笑顔と同じくらい、親の心も大切

保育士だった頃の私は、「子どものために何ができるか」を一番に考えていました。
もちろん、今でも子どもの気持ちは大切です。

でも母親になってからは、もう一つ大切なことがあると感じるようになりました。
それは、子どもを育てている親の心にも目を向けることです。

親が疲れ切っていると、「少し待ってあげよう」と思っていても難しいことがあります。
普段なら笑って流せることにも、イライラしてしまうことがあります。

だから、子どものために何かを増やすことばかり考えなくてもいい。
夕食を簡単にする。片づけを明日にする。誰かに子どもをお願いして、一人になる時間を作る。

親の負担を一つ減らすことが、結果として子どもと穏やかに過ごせる時間につながることもあります。
私が考える子育てで本当に大切なことには、親自身の心を置き去りにしないことも含まれています。

頑張りすぎていると感じる方には、
頑張りすぎない育児で大切にしたいこと
でも、私自身が意識していることをまとめています。

5. 頑張っている人ほど「助けて」が言いにくい

保護者の方と関わっていると、「自分でやらなければ」と頑張っている方に出会うことがあります。
私自身も、できることなら自分でやりたいと思ってしまうことがあります。

「これくらいで頼っていいのかな」
「みんなやっていることだから」
「親なんだから頑張らないと」

そう考えているうちに、気づけば余裕がほとんど残っていない。
そんなこともあります。

現在、ベビーシッターとしてご家庭に伺うようになり、改めて感じることがあります。

シッターを利用する理由は、「子育てができないから」ではありません。
仕事がある日もあれば、用事がある日もあります。
少し休みたい日や、家庭の負担を減らしたい日もあります。

誰かに頼ることは、子育てを誰かに任せきりにすることではありません。

一人で抱え込まないために、人の力を借りる。
それも、長く続く子育ての中で大切なことだと思っています。

6. 子育てで本当に大切なことは「完璧さ」より安心感

子育てをしていると、「怒らないほうがいい」「もっと話を聞いてあげたほうがいい」と分かっていても、できない日があります。
私にもあります。

でも、強く言ってしまった一回だけで親子の関係が決まるわけではありません。
私は、うまくできなかったときこそ、その後の関わりを大切にしています。

「さっきは大きな声になっちゃったね」
「ママも急いでいて余裕がなかったよ」

落ち着いてから話し直すことはできます。

子どもにとって大切なのは、毎日完璧に対応してくれる大人だけではなく、
困ったときに戻ってこられる場所や、自分の気持ちを受け止めてもらえる時間があることではないかと、私は感じています。

叱る前の具体的な声掛けについては、
子どもを叱る前に試してほしいこと
でも紹介しています。

「早くして!」と言ってしまう朝に悩んでいる方は、
「早くして!」をやめたいママへ
も参考にしてみてください。

7. 今、子育てを頑張っている方へ

保育士として子どもたちを見ていた私が母親になり、そして今はベビーシッターとして再びさまざまなご家庭に関わっています。
立場が変わるたびに、子育ての見え方も変わりました。

そして今、私が感じている子育てで本当に大切なことは、何もかも完璧にできることではありません。

子どものことを考えて悩む。
「これでよかったのかな」と振り返る。
明日はもう少し違う関わり方をしてみようと思う。

その繰り返しも、子どもと向き合っている時間の一つだと私は思います。

うまくできなかった日があっても、また次に話せます。
疲れている日は、誰かに頼ることもできます。

そして、できなかったことだけではなく、今日できたことにも目を向けてみてください。

子どものごはんを用意した。
送り出した。
抱っこした。
話を聞いた。
一緒に笑った。

そんな毎日の一つひとつも、子育てです。

まとめ|子育てで本当に大切なことを、保育士と母を経験した今考える

保育士だった頃の私は、まず子どもの姿を見ていました。

母親になって、子どもの後ろには毎日の生活を懸命に回している保護者がいることを、以前より深く感じるようになりました。

そして今、ベビーシッター・子育てコーチとしてご家庭に関わる中で大切にしているのは、
子どもだけでも、親だけでもなく、親子の両方を見ることです。

私にとって子育てで本当に大切なことは、すべての家庭に一つの正解を当てはめることではありません。
その子とその家庭に合った方法を考えながら、親子が安心して過ごせる時間を少しずつ増やしていくことです。

もし今、「子育てがしんどい」と感じているなら、
子育てがしんどいと感じる理由
も読んでみてください。

この記事を書いた人

田中美穂|保育士歴19年

保育士・幼稚園教諭・ACSA認定ベビーシッター・子育てコーチング認定講師。
保育士として19年間、子どもたちと保護者に関わってきました。
現在は3児の母として子育てをしながら、ベビーシッター・子育て相談を通してご家庭をサポートしています。

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