2歳が叩くのはなぜ?原因と関わり方を保育士19年が解説
2歳が叩くのはなぜ?保育士19年が原因と関わり方を解説
お友達を叩いてしまう。
兄弟にすぐ手が出る。
順番が待てずに押してしまう。
思い通りにならないと叩いてしまう。
「何度注意しても繰り返す……」
そんな姿を見ると、
「どうして叩くの?」
「ちゃんと教えているのに……」
「私の育て方が悪いのかな。」
と悩んでしまう保護者の方も多いと思います。
保育園でも、叩くことが癖になっているように見える子は少なくありません。
叩くだけではなく、引っ掻いてしまう子もよく見られます。
しかし、その理由は一人ひとり違います。
言葉で気持ちを伝えられなかったり、順番が待てなかったり、自分の思いが通らなかったり。
保護者の方からも、
「順番が守れず、すぐに手が出てしまいます。」
「『ごめんね』と言わせても、まだ分かっていないようです。」
「つい強く叱ってしまいます。」
という相談を、本当によく受けてきました。
お友達を叩いてしまった時、周りの目もあります。
親として、すぐに叱ったり、「ごめんね」と謝らせたりすることは、とても自然なことです。
しかし、その前に知っておいてほしいことがあります。
2歳は、まだ自分の気持ちを言葉で伝えたり、相手の気持ちを理解したりする力が発達の途中だということです。
もちろん、叩いてよいという意味ではありません。
だからこそ大切なのは、叩いたことだけを見るのではなく、「なぜ叩いてしまったのか」という理由に目を向けることです。
この記事では、保育士19年・3児の母・現役ベビーシッターとしての経験をもとに、2歳が叩く理由と、保育園で実践していた関わり方、家庭で今日からできる対応について詳しくお伝えします。
目次
1. 2歳が叩くのはなぜ?
2歳頃は、自我が大きく育つ時期です。
「自分でやりたい」「貸したくない」「もっと遊びたい」など、自分の気持ちは強くなります。
しかし、その気持ちを言葉で相手へ伝えることは、まだ難しい時期です。
そのため、気持ちがあふれると、思わず手が出てしまうことがあります。
大人から見ると「叩いた」という行動だけが目につきますが、子どもの中では、言葉にならない気持ちがたくさん動いています。
「貸してほしかった。」
「順番が待てなかった。」
「悔しかった。」
「遊びたかった。」
そんな気持ちを伝える代わりに、叩くという行動になってしまうのです。
つまり、叩くことは悪い子だからではなく、気持ちの表現方法を学んでいる途中とも言えます。
2. 2歳が叩く5つの理由
① 言葉で伝えられない
2歳は言葉が増えてくる時期ですが、まだ自分の思いを十分に伝えることはできません。
「貸して。」
「嫌だった。」
「一緒に遊びたい。」
その代わりに、叩くという行動で気持ちを表してしまうことがあります。
② 順番が待てない
順番を待つことは、大人が思っている以上に難しいことです。
「今すぐ遊びたい。」
という気持ちが強く、思わず手が出てしまうことがあります。
③ 思い通りにならない
積み木が壊れた。
おもちゃを取られた。
遊びを終わりにしたくない。
気持ちをコントロールする力はまだ発達途中です。
そのため、怒りや悔しさが手になって表れることがあります。
④ 遊びたい気持ちが強い
叩こうと思っているわけではありません。
一緒に遊びたくて近付いた結果、お友達を押してしまったり、強く触ってしまったりすることもあります。
まだ相手との距離感が分からないためです。
⑤ 大人の真似をしている
テレビや兄弟、周囲の大人など、子どもは日々たくさんのことを真似しながら育っています。
だからこそ、大人同士の関わり方も子どもはよく見ています。
叩いたからといって「真似をしたから」と決めつける必要はありませんが、普段の関わり方を振り返るきっかけになることもあります。
3. 保育園で実践していた関わり方
保育園でも、お友達を叩いてしまう子は珍しくありませんでした。
特に2歳児クラスでは、おもちゃの取り合いや順番待ちの場面で手が出ることがよくありました。
しかし私は、叩いた瞬間だけを見て叱ることは、ほとんどありませんでした。
まず見ていたのは、その前に何があったのかです。
貸してほしかったのか。
遊びたかったのか。
取られて悔しかったのか。
眠かったのか。
疲れていたのか。
理由が分かると、関わり方も変わってきます。
例えば、おもちゃを取られて叩いてしまった子には、
「貸したくなかったんだね。」
「まだ遊んでいたかったんだね。」
と、まず気持ちを言葉にして伝えます。
そのうえで、
「『まだ使ってるよ』って言ってみようか。」
「『貸して』って先生と一緒に言ってみよう。」
と、次にどう伝えればよいのかを一緒に練習していました。
叩いたことだけを叱るよりも、「どうすれば伝わるか」を繰り返し経験することで、少しずつ手より言葉が増えていきました。
もちろん、一日で変わるわけではありません。
何度も繰り返しながら、少しずつ成長していく姿をたくさん見てきました。
4. 今日からできる5つの対応
「叩いてしまう時は、どう対応したらいいの?」と思いますよね。
保育園でも毎日のように見られる姿でしたが、私が大切にしていたことがあります。
それは、「叩いたことだけを叱る」のではなく、「どうしたかったのか」を一緒に考えることです。
① まずは気持ちを受け止める
叩いた瞬間だけを見ると、「ダメ!」と言いたくなります。
もちろん、叩くことはいけないことです。
しかし、その前に子どもの気持ちを受け止めることが大切です。
- 「貸したかったんだね。」
- 「悔しかったね。」
- 「まだ遊びたかったね。」
- 「順番が待てなかったね。」
気持ちを認めてもらえることで、子どもは安心し、その後の話を聞きやすくなります。
② 「叩く」以外の伝え方を教える
2歳は、「叩いてはいけない」ことは少しずつ分かってきます。
でも、「では、どうしたらいいの?」はまだ分かりません。
そこで、言葉を代わりに教えます。
- 「貸してって言ってみよう。」
- 「まだ使ってるよって伝えよう。」
- 「先生、一緒に言おうか。」
- 「順番ねって言おう。」
何度も繰り返すことで、少しずつ言葉が増えていきます。
③ 叩いた相手の気持ちを短く伝える
長い説明はまだ理解が難しい時期です。
短く、分かりやすく伝えます。
- 「叩くと痛いね。」
- 「○○ちゃん、びっくりしたね。」
- 「悲しかったね。」
責めるのではなく、「相手はどう感じたかな」を少しずつ伝えていきます。
④ 「ごめんね」を無理に言わせない
「早く謝りなさい!」と言いたくなることもあります。
しかし、2歳はまだ「ごめんね」の意味を十分理解できていないこともあります。
言葉だけ言わせるより、まずは気持ちが落ち着くことを優先しましょう。
落ち着いてから、
「痛かったね。」
「ごめんねって言ってみる?」
と促す方が、少しずつ意味も理解していけます。
⑤ 良い関わりを見つけて伝える
叩かなかった時こそ、しっかり認めてあげます。
- 「貸してって言えたね。」
- 「順番を待てたね。」
- 「手じゃなくて言葉で伝えられたね。」
- 「優しく触れたね。」
できた経験が増えることで、自信にもつながります。
5. 場面別の具体的な声掛け
おもちゃを取られて叩いた時
まずは気持ちを受け止めます。
- 「まだ遊んでいたかったね。」
- 「貸したくなかったね。」
その後、
- 「まだ使ってるよって言ってみよう。」
- 「先生と一緒に伝えようか。」
順番が待てず叩いた時
順番を待つことは2歳には難しいことです。
- 「早く遊びたかったね。」
- 「あと一人で順番だよ。」
- 「先生と数えて待ってみよう。」
兄弟を叩いた時
兄弟は安心できる存在だからこそ、感情が出やすい相手でもあります。
まずは理由を聞いてみましょう。
- 「嫌だったんだね。」
- 「貸してほしかったの?」
- 「一緒に遊びたかったのかな?」
その後、
- 「叩かないで、お話してみよう。」
- 「お母さんと一緒に伝えよう。」
公園で知らない子を叩いた時
まずは相手のお子さんの安全を確認します。
その後、短く、
「叩くと痛いよ。」
「遊びたかったんだね。」
「一緒に『貸して』って言おう。」
周りの目が気になっても、長く叱る必要はありません。
その場では短く伝え、落ち着いてからゆっくり話しましょう。
保育園でお友達を叩いたと言われた時
お迎えで先生から聞くと、ショックを受けることもあります。
しかし、帰宅後すぐに叱るよりも、まずは先生から状況を聞いてみましょう。
「何があったのかな?」
「どんな遊びをしていたのかな?」
理由を知ることで、お家での関わり方も見えてきます。
叩いた事実だけではなく、その前後を知ることが大切です。
6. やってはいけない対応
毎日忙しい中で、子どもが何度も叩くと、つい感情的になってしまうこともあります。
私自身も母親として、「また叩いたの?」と強い口調になってしまったことがあります。
しかし、次のような対応はできるだけ避けたい関わり方です。
① 感情的に怒鳴る
「何回言えば分かるの!」
「また叩いたの!」
大きな声で怒られると、子どもは怖さを感じます。
しかし、「なぜ叩いてはいけないのか」までは理解しにくくなります。
まずは落ち着いて、短く伝えることを意識しましょう。
② 「悪い子」と決めつける
「あなたは乱暴な子だね。」
「本当に困った子。」
このような言葉は、子ども自身を否定してしまいます。
伝えたいのは、子どもではなく行動です。
「叩くと痛いよ。」
「手ではなく言葉で伝えようね。」
と行動に焦点を当てて伝えましょう。
③ 何度も「ごめんね」を言わせる
謝ることは大切ですが、意味が分からないまま繰り返し言わせても学びにはつながりにくいことがあります。
まずは気持ちを整理し、その後で「ごめんね」と伝えられれば十分です。
④ 他の子と比べる
「○○ちゃんは叩かないよ。」
「お兄ちゃんはできたよ。」
比べられることで、自信を失ってしまう子もいます。
昨日のその子より少し成長しているところを見つけてあげましょう。
⑤ 理由を聞かずに叱る
叩いたという結果だけを見るのではなく、その前に何があったのかを知ることが大切です。
理由が分かることで、次の対応も変わってきます。
7. 相談した方がよい目安
2歳で叩くこと自体は珍しいことではありません。
しかし、次のような場合は、一人で抱え込まず相談してもよいでしょう。
- 毎日のように強く叩き、大きなけがにつながることが多い
- 言葉やコミュニケーション面でも気になることがある
- 園や家庭生活に大きな支障が出ている
- 保護者が精神的につらくなっている
相談することは悪いことではありません。
その子に合った関わり方を一緒に考えるための第一歩です。
子どもの発達や子育てに関する公的な情報については、
こども家庭庁
の情報も参考になります。
8. よくある質問
Q. 叩いたらすぐに叱った方がいいですか?
まずは安全を確保し、「叩くと痛いよ」と短く伝えましょう。
その後、なぜ叩いてしまったのか理由を知ることが大切です。
Q. ごめんねを言えません。
2歳はまだ謝る意味を十分理解できないことがあります。
無理に言わせるより、気持ちが落ち着いてから促しましょう。
Q. 保育園では叩くのに家では叩きません。
集団生活では順番や我慢が増えるため、園でだけ見られることもあります。
先生と家庭で様子を共有しながら関わることが大切です。
Q. いつ頃落ち着きますか?
個人差はありますが、言葉が増え、自分の気持ちを伝えられるようになるにつれて少しずつ減っていくことが多いです。
9. 保育士19年・3児の母として伝えたいこと
私は19年間、保育士として多くの2歳児と関わってきました。
叩いてしまう子は、本当にたくさんいました。
でも、その子たちがずっと叩く子だったわけではありません。
毎日の生活の中で、「貸して」「一緒に遊ぼう」「まだ使ってるよ」と少しずつ言葉を覚え、手よりも言葉で伝えられるようになっていきました。
だから私は、「叩く子」ではなく、「今、伝え方を学んでいる途中の子」だと考えています。
もちろん、叩かれる相手への配慮は必要です。
だからこそ、叩いたことだけを叱るのではなく、その子の気持ちにも目を向けてあげてほしいと思います。
私自身も母親として、我が子に強く言ってしまい、寝顔を見ながら反省した日が何度もありました。
だから、お父さん、お母さんにも完璧を目指してほしいとは思いません。
今日うまくいかなくても大丈夫です。
子どもは毎日の関わりの中で、少しずつ成長していきます。
焦らず、一緒に育っていきましょう。
まとめ|2歳が叩くのは成長の途中だから
- 2歳が叩くのは、気持ちを伝える力がまだ育っている途中だから
- 叩いた理由に目を向けることが大切
- まずは気持ちを受け止める
- 言葉で伝える方法を一緒に教える
- 「叩かないで伝えられた」経験をたくさん認める
- 焦らず毎日の積み重ねを大切にする
今は叩いてしまうことがあっても、言葉や経験が増えることで、少しずつ自分の気持ちを伝えられるようになります。
お子さんの成長を信じながら、一歩ずつ見守っていきましょう。
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この記事を書いた人
田中 美穂(Mama Start)
保育士歴19年。現役ベビーシッター・子育てコーチング認定講師・3児の母。
これまで保育園で0歳から就学前まで多くの子どもたちと関わり、2歳児クラスも複数回担当してきました。
現在は訪問型ベビーシッターや子育て相談を通して、子どもだけでなく毎日頑張る保護者にも寄り添う活動を行っています。
