保育士19年で子どもから学んだ10のこと|忘れられない保育現場の経験
子どもから学んだことは、
保育士として19年間働いてきた私の、
今の保育や子育て支援の土台になっています。
「学ぶ姿勢を忘れないで」から始まった19年間
保育士になって1年目の頃、園長先生から言われた言葉があります。
「あなたの学ぶ姿勢を、いつまでも持ち続けてください。
経験を重ねると、経験やプライドだけで保育をしようとしてしまうことがあります。
保育士になりたいと思ったときの、真っ直ぐな気持ちを忘れないでください」
当時の私は、その言葉の意味を深く理解できていなかったかもしれません。
けれど、子どもたちと関わる中で、何度も思い出すことになりました。
保育士15年目、私は1歳児クラスのリーダーをしていました。
コロナ禍で業務が増え、クラスが落ち着かない日が続きました。
泣く子が多く、噛みつきなどのトラブルにも悩んでいました。
私が考えていたのは、
「どうしたらクラスが落ち着くか」
「どうしたら噛みつきが減るか」
「どうしたら保育がスムーズに進むか」ということばかり。
そんなとき、園長先生に言われました。
「子どもから学びなさい。
今、この子たちが何に興味を持っているのか、
子どもに教えてもらうつもりで見てみなさい。
あなたが変われば、子どもたちとの関わりも変わっていくからね」
子どもたちを変える方法ばかり探していた私は、
目の前の姿を十分に見られていただろうか。
そう考えるようになりました。
この記事では、その後の経験も含め、
私が子どもから学んだことを10個お伝えします。
1.子どもから学んだこと|教えるだけが保育ではない
保育士になったばかりの頃は、
「保育士は子どもに教える仕事」だと思っていました。
今は、子どもたちの反応を見ながら、
大人も学ぶ仕事だと感じています。
1歳児クラスで悩んでいたときも、
「どうしたら言うことを聞いてくれるか」より先に、
「今、何に興味があるのかな」と見ることで、
関わり方を考え直せました。
2.答えは、子どもの姿から探す
園に慣れるまで、長く泣いていた子がいました。
食事が進まない日もあり、抱っこを嫌がることもありました。
私は「どうしてあげたらいいんだろう」と悩みました。
そこで、「どうして泣くの?」と理由を決めようとする代わりに、
「今はどうしてほしいのかな」と考えるようにしました。
一対一で過ごせる時間を作り、
集団で動くときも、その子の様子を見ながら関わりました。
すぐに泣かなくなったわけではありません。
それでも、その子がどんな場面で落ち着けるかを知ることで、
関わり方の手がかりが少しずつ増えていきました。
3.「言うことを聞く子」だけを良い子と決めない
先生の話をよく聞き、お手伝いをしてくれる子がいます。
それは素敵な姿です。
一方で、それだけを見て「この子は大丈夫」と決めないことも
大切だと感じています。
担任した子の中に、先生の動きを先回りして
手伝ってくれる子がいました。
その子が大人のそばにいると安心した様子を見せることもあり、
私は「この子自身は、今どんなふうに過ごしたいのかな」と
考えるようになりました。
大人にとって助かる行動と、
子ども自身の気持ちは同じとは限りません。
目に見える行動だけで評価しないことも、
私が子どもから学んだことです。
4.注意するときは、人格ではなく行動を伝える
子どもが人を叩いたときや、道路へ出そうになったときは、
止める必要があります。
そんな場面ほど、私は自分の伝え方を振り返ってきました。
「あなたは悪い子」ではなく、
「叩くと痛いよ」
「道路は危ないから、ここで止まろう」と、
止めたい行動を具体的に伝える。
私も感情的になることはあります。
だからこそ、落ち着いてから
「今、子どもに必要なことを伝えられたかな」と考えるようにしています。
5.大人の普段の姿も、子どもに伝わる
子どもたちは、私たちの言葉だけでなく、
表情や人との関わり方も見ています。
私が誰かに「ありがとう」と伝えること。
うまくいかなかったときに「ごめんね」と言い直すこと。
子どもに何かを教えるときだけでなく、
普段どう過ごしているかも大切にしたいと思うようになりました。
6.子どもから学んだこと|一人ひとりに合う選択肢を作る
折り紙でサンタを作る活動をしたとき、
簡単なもの、少し挑戦するもの、難しいものを用意し、
子どもが選べるようにしたことがあります。
「今日は簡単なのにする」
「次は少し難しいのをやってみたい」。
子どもたちは、自分で選びながら取り組んでいました。
全員に同じことを同じ方法でしてもらうより、
自分に合うところから始められるようにする。
その大切さも、子どもから学んだことの一つです。
7.挑戦したい気持ちを、安全と一緒に考える
子どもが「やってみたい」と思うことと、
大人が心配に思うことが重なる場面があります。
そんなとき、私は娘が5歳の頃に脚を骨折した経験を思い出します。
治療後、園では水遊びやプールが始まる時期でした。
娘の気持ちを大切にしたい一方で、
体への負担も心配でした。
担任の先生が娘の様子を丁寧に見てくださったこと、
そのときの娘のうれしそうな表情を覚えています。
この経験から、子どもの意欲も安全面も、
どちらも置き去りにせず考えたいと思うようになりました。
けがの後の活動については、個別に医師や園と確認することが必要です。
8.「困った行動」の背景を見る
噛みつき、叩く、イヤイヤ、登園を嫌がる。
まず安全を守り、必要な行動は止めます。
そのうえで、私は「この子に何が起きているのかな」と考えます。
言葉で伝えられなかったのかもしれません。
疲れや不安が重なっていたのかもしれません。
理由を一つに決めつけず、前後の様子を見ることで、
次の関わり方が見つかることがあります。
行動だけを見て終わらないこと。
これも、私が子どもから学んだことです。
9.子どものそばにいる保護者の暮らしにも目を向ける
保育士になったばかりの頃は、
主に園での子どもの姿を見ていました。
自分自身が母親になってからは、
家に帰ってからも続く子育てや、
仕事と家庭を両立する大変さを以前より考えるようになりました。
子どもへの関わり方を一緒に考えるときも、
保護者が今どんな毎日を送っているかを聞きたいと思っています。
子どもを支えることと、その子を育てる人を支えることはつながっている。
保護者の暮らしにも目を向ける大切さは、
私が子どもから学んだことの一つです。
10.経験を重ねても、目の前の子どもから学び続ける
保育士として19年働いてきても、
「もう子どものことは分かった」と思うことはありません。
同じ子でも、昨日と今日では違う姿を見せてくれます。
過去の経験は役に立ちます。
でも、「この子はこういう子」と決めつけず、
その日の表情や行動を見ることも忘れたくありません。
1年目に園長先生から言われた「学ぶ姿勢を忘れないで」という言葉は、
今も私の中に残っています。
これからも、子どもから学んだことを
保育や子育て支援に生かしながら、
ベビーシッターとして、そして母として学び続けたいと思います。
まとめ|保育士19年で子どもから学んだ10のこと
子どもたちと関わる中で、
私は保育の方法だけでなく、
子どもを見る自分の姿勢も教えてもらいました。
- 教えるだけでなく、子どもから学ぶ
- 答えは目の前の子どもの姿から探す
- 大人の都合だけで「良い子」と決めない
- 注意するときは人格ではなく行動を伝える
- 大人の普段の姿も子どもに伝わる
- 一人ひとりに合う選択肢を作る
- 挑戦したい気持ちと安全を一緒に考える
- 困った行動の背景を見る
- 保護者の暮らしにも目を向ける
- 経験を重ねても学び続ける
これからも、一人ひとりの子どもの姿を見ながら、
子どもと保護者の両方に役立つ情報を届けていきたいと思います。
関連記事
子どもの行動や発達について心配が続く場合は、
園の先生、自治体の相談窓口、かかりつけ医などにご相談ください。
この記事を書いた人
田中美穂|保育士歴19年
保育士として0歳児から就学前まで、
子どもたちと保護者に関わってきました。
現在は訪問ベビーシッターとしても活動しています。
保育の経験と3児の母としての経験をもとに、
子育てのヒントをお届けしています。
