保育園で噛まれたらどうする?保護者が知っておきたい対応を保育士19年が解説
保育園で噛まれたらどうする?保護者が知っておきたい対応を保育士19年が解説
「保育園から『今日はお友達に噛まれてしまいました』と言われた…。」
腕にくっきりと歯型が残っていたり、青あざになっていたりすると、とても胸が痛みますよね。
「どうして防げなかったの?」
「相手の子は謝ってくれるの?」
「また噛まれたらどうしよう…。」
保護者として、不安や怒り、悲しみなど、さまざまな気持ちになるのは当然のことです。
私は保育士として19年間、多くの噛みつきに対応してきました。
そして親として、自分の子どもが保育園で噛まれた経験もあります。
保育士の立場も、保護者の立場も経験したからこそ、お伝えできることがあります。
この記事では、保育園で噛まれた時に園ではどのような対応をしているのか、保護者として知っておきたいこと、家庭でできるケアについてお話しします。
この記事でわかること
- 保育園で噛まれた時の園の対応
- 保護者が確認しておきたいこと
- 噛んだ子の保護者への対応
- 保育士が考えていること
- 家庭でできる心のケア
私自身も「噛まれた保護者」でした
私自身も、保護者として子どもが保育園で噛まれた経験があります。
腕にはくっきりと歯型が残り、青あざになるほどでした。
ようやく治ってきた頃に、また噛まれてしまったこともあります。
申し訳なさそうに何度も謝る担任の先生。
その姿を見ながら、私は責めたい気持ちよりも、
「噛んだ子のお母さんは、このことを知っているのかな。」
そんなことを考えていました。
しかし、保育士として19年間働いてきた経験からお伝えすると、園によって対応は異なりますが、私が勤務してきた園では、個人情報への配慮や子どもの発達段階などを踏まえ、その都度状況に応じて保護者への伝え方を判断していました。
もちろん、噛んでしまったお子さんには、その場で「噛むと痛いよ」「どうしたかったのかな」と気持ちを受け止めながら関わります。
同時に保育士は、「子どもが悪い」と考えるのではなく、「なぜ噛みつきが起きてしまったのか」という保育環境を振り返ります。
おもちゃの取り合いだったのか、眠さや疲れがあったのか、保育士の配置や声掛けは適切だったのかなど、子どもだけではなく環境にも原因がなかったかを職員全員で話し合い、再発防止につなげていきます。
一方で、噛みつきが何度も続いてしまった場合や、大きなけがにつながってしまった場合、また噛まれた側の保護者から謝罪を希望される場合には、噛んでしまったお子さんの保護者へ状況を説明し、対応をお願いすることもあります。
私自身も、「可能であれば一言お声掛けいただけますか」と保護者へお願いした経験が何度かあります。
ただ、その受け止め方は本当にさまざまです。
すぐに謝罪してくださる方もいれば、とても驚かれる方、自分のお子さんを責めて涙を流される方もいました。
だからこそ保育士は、噛まれた側にも、噛んでしまった側にも寄り添いながら、それぞれの思いを受け止め、子どもたちが安心して過ごせる環境を整えていくことが大切だと考えています。
保育園では噛みつきが起きた時、何をしているの?
「噛みつきが起きた時、保育園ではどのように対応しているのだろう。」
そう思われる保護者の方も多いと思います。
園によって対応は多少異なりますが、私が19年間勤務してきた保育園では、まず噛まれたお子さんの安全を最優先に対応していました。
- 傷の状態を確認する
- 必要に応じて患部を冷やす
- 主任や園長へ報告する
- 保護者へ状況を説明する
- 職員同士で原因を振り返る
噛んでしまった子にも、その場で「どうして噛んでしまったのかな」と気持ちを受け止めながら関わります。
そして最も大切にしているのは、「誰が悪いか」を考えることではありません。
「なぜ噛みつきが起きたのか」を振り返り、同じことが起こらないよう環境を見直すことです。
保育士の配置は適切だったのか、おもちゃの数は足りていたのか、子どもたちの遊び方や生活リズムに無理はなかったのかなど、職員全員で話し合い、再発防止につなげていきます。
「相手の保護者に謝ってほしい」と思うのは自然な気持ちです
保護者としては、「相手の保護者から謝罪がほしい」と思うのは、とても自然な気持ちです。
私も保育士時代、そのようなケースを何度も経験しました。
特に今でも忘れられない出来事があります。
3歳児クラスを担任していた時のことです。
普段からとても仲の良い二人の男の子が、いつものように一緒に遊んでいました。
ところが、おもちゃの取り合いになり、「間に入ろう」と思ったその瞬間、片方のお子さんが先に手を出しました。
そのことに怒ったもう一人のお子さんが、とっさに相手の顔を噛んでしまったのです。
顔にはくっきりと噛み跡が残り、二人とも大泣きになりました。
私はすぐに応急処置を行い、保護者の方へ丁寧に状況を説明しました。
しかし、そのお子さんは数日後に祖父母と一緒に七五三の前撮り写真を予定していました。
保護者の方が納得できないお気持ちは当然だったと思います。
私は、「防ぐことができなかった私たちの責任です」とお伝えしましたが、保護者の方は「園だけではなく、相手の保護者からも謝罪してほしい」と希望されました。
一方で、噛んでしまったお子さんにも理由がありました。
先に手を出されたことで、とっさに感情があふれてしまったのです。
もちろん、だからといって噛んでよい理由にはなりません。
しかし、「どちらか一方だけが悪い」と簡単に言い切れない場面も、保育現場では少なくありません。
子ども同士のトラブルには、それぞれの思いや背景があります。
だからこそ、保育士は双方の気持ちを受け止めながら、一つひとつ丁寧に対応していく必要があるのです。
保育士は決して軽く考えていません
保護者の方の中には、「保育園は噛みつきを軽く考えているのではないか」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、私が19年間働いてきた中で、そのような保育士には一人も出会ったことがありません。
噛みつきが起きると、まず子どもの怪我を確認し、保護者へ説明をし、職員同士で原因を振り返ります。
「どうして防げなかったのだろう。」
「あと一歩早く気付けなかっただろうか。」
そのように自分たちの保育を振り返り、何度も反省を繰り返します。
私自身も、保護者へ謝罪した帰り道に、「もっとできることがあったのではないか」と自分を責めたことが何度もありました。
保育士は、朝から子どもたちの表情や体調を見ながら過ごしています。
「今日は眠そうだな。」
「昨日より少し疲れているかな。」
「お友達との距離が近いから気を付けよう。」
そんな小さな変化にも気を配りながら保育をしています。
それでも、噛みつきはほんの数秒で起きてしまうことがあります。
保育士が隣にいても、おもちゃを取られた瞬間や、感情が一気に高ぶった瞬間に、とっさに噛んでしまうことがあるのです。
もちろん、「だから仕方ない」と言いたいわけではありません。
保育士は、二度と同じことが起きないように環境を見直し、子どもたちへの関わり方を考え続けています。
だからこそ、保護者の方にも、「保育士も同じように心を痛めている」ということを知っていただけたら嬉しいです。
保護者として確認しておきたいこと
お子さんが噛まれた時は、不安な気持ちのまま帰宅するのではなく、気になることは遠慮せず保育園へ確認して大丈夫です。
例えば、次のようなことを確認すると安心につながります。
- どのような場面で噛まれたのか
- 傷の状態はどうだったのか
- 応急処置はどのように行ったのか
- 今後どのような再発防止を考えているのか
一方で、「相手は誰ですか?」と個人が特定できる情報については、個人情報保護の観点から教えてもらえないことがほとんどです。
保護者としては知りたい気持ちもあると思いますが、園は双方の家庭を守る立場でもあります。
そのため、相手を知ることよりも、「今後どのように安全に過ごせるようにしていくのか」を一緒に確認することが大切です。
家庭でできる心のケア
噛まれた傷は時間とともに治っていきます。
しかし、子どもの心には「怖かった」「痛かった」という気持ちが残ることもあります。
まずは、お子さんの気持ちを受け止めてあげましょう。
「痛かったね。」
「びっくりしたね。」
「怖かったね。」
そんな一言だけでも、子どもは「分かってもらえた」と安心できます。
逆に、「もう終わったことでしょ。」「気にしなくて大丈夫。」と無理に気持ちを切り替えさせようとすると、子どもは自分の気持ちを我慢してしまうことがあります。
お子さんが話したい様子であれば、ゆっくり話を聞いてあげてください。
ただし、何度も「誰に噛まれたの?」「何をしたの?」と聞き続ける必要はありません。
子どもの記憶は大人ほど正確ではなく、話すたびに内容が変わることもあります。
安心できる家庭の中で普段通り過ごすことが、一番の心のケアになることも多いのです。
よくある質問(Q&A)
Q. 保育園で噛まれたら病院へ行った方がいいですか?
傷が浅い場合は様子を見ることもありますが、皮膚が破れて出血している場合や、顔など傷跡が心配な場合は、早めに医療機関へ相談すると安心です。
心配な時は保育園にも状況を確認しましょう。
Q. 相手の保護者へ謝罪を求めてもいいのでしょうか?
お気持ちはとても自然なことです。
ただし、園には個人情報を守る役割もあります。
園の方針によって対応は異なるため、まずは担任や園長先生へ相談してみることをおすすめします。
Q. また同じ子に噛まれたらどうしたらいいですか?
続けて同じようなことが起きた場合は、不安な気持ちを率直に保育園へ伝えましょう。
園でも原因を振り返り、保育の方法や環境を見直してくれるはずです。
保護者と保育園が一緒に考えていくことが大切です。
Q. 噛まれたことが原因で保育園へ行きたがらなくなることはありますか?
あります。
特に強い痛みや怖い思いをした場合は、一時的に登園を嫌がることもあります。
無理に「大丈夫だから」と言うのではなく、「怖かったね」と気持ちを受け止めながら、保育園とも様子を共有していきましょう。
まとめ
- 保育園で噛まれた時は、まず子どもの心と体のケアを大切にする
- 保育士は噛みつきを軽く考えているわけではなく、原因を振り返り再発防止に努めている
- 噛んだ子だけではなく、保育環境にも目を向けながら対応している
- 相手の保護者への対応は園によって異なる
- 不安なことは一人で抱え込まず、保育園へ相談することが大切
私は保育士として19年間、多くの噛みつきに向き合ってきました。
そして親として、自分の子どもが噛まれた経験もあります。
だからこそ、噛まれた保護者の悲しさも、噛んでしまった子の保護者の苦しさも、そして保育士の葛藤も痛いほど分かります。
噛みつきは誰も幸せにならない出来事です。
だからこそ、大人同士が責め合うのではなく、「子どもたちが安心して過ごせる環境をどう作るか」を一緒に考えていくことが何より大切だと私は思っています。
噛まれた子も、噛んでしまった子も、どちらもまだ成長の途中です。
大人が子どもの気持ちを受け止め、安心して過ごせる環境を整えていくことで、子どもたちは少しずつ人との関わり方を学び、成長していきます。
保育園と家庭が協力し合いながら、子どもの成長を温かく見守っていきましょう。
参考資料
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